海外出張で6回、カードを使ってきました。持っていったのはいつも2枚です。
準備していたのは手数料のことでした。実際に現地で困ったのは、手数料ではなく「そのカードが使えるかどうか」のほうでした。
この記事は、その6回で実際に起きたことを先に書き、そのうえで2026年のカード選びを整理します。行き先はポーランド・韓国・シンガポールです。ハワイやグアムの話ではないので、そこは差し引いて読んでください。
手数料の一覧だけ見たい方は、主要5社の海外事務手数料の比較表へどうぞ。
この記事はこんな悩みを解決します
- 自分のカードの海外事務手数料が何%なのか分からない
- 海外に持っていく2枚を、どう選べばいいか決められない
- 現地で現金が必要になったとき、どうすればいいか不安
読み終える頃には、手持ちのカードのどれを持っていくかと、出発前に何を確認しておけばいいかが決まります。
先に結論
- Visaを1枚、Mastercardを1枚。同じブランドで2枚持っても、弾かれたときの保険にならない
- 現地通貨はATMのキャッシングで用意した。ただし手持ちのカードのうち、引き出せないものがあった
- 「日本円で払いますか」は何度も聞かれる。現地通貨払いで固定した
- 渡航先で必要なものは変わる。韓国とシンガポールはカードだけで足りた
- 海外事務手数料は2024〜2025年に各社が引き上げた。率は国際ブランドではなく発行会社で決まるので、自分のカードで確認する
ポーランドの飲食店で、Visaが2度はじかれた
いちばん記憶に残っているのは、ポーランドの飲食店です。
会計でVisaのカードを渡したところ、決済機で2度はじかれました。そこでMastercardのカードに変えたら、一度で通りました。
このとき手数料のことは頭にありませんでした。考えていたのは「このあとどうやって払うか」だけです。手数料が1%高いか安いかより、目の前の会計が成立するかどうかのほうがはるかに重要だと実感した場面でした。
なぜ通らなかったのか、その場では分かりませんでした。加盟店が契約している国際ブランドが限られていた可能性もありますし、通信や読み取りの問題だったのかもしれません。ただ、理由が何であれ、別ブランドのカードを持っていたから支払えた——現地で意味があったのはその一点でした。
だから、ブランドを分けて2枚持つ
カードを2枚持つとき、つい「還元率の高い順に2枚」と選びがちです。しかしその2枚が両方Visaだったら、弾かれたときに何の役にも立ちません。
2枚持ちで本当に効くのは、枚数ではなくブランドの分散です。VisaとMastercardを1枚ずつ、という組み合わせが基本になります。
現地通貨はATMのキャッシングで用意した(引き出せないカードもあった)
現金は日本で両替せず、現地のATMでキャッシングして用意しました。事前に手数料を調べたうえでの判断です。
ここで想定外だったことがあります。持っていったカードのうち、現地のATMで引き出せないものがありました。
クレジットカードなら海外のATMで必ず現金を引き出せる、というわけではありません。海外キャッシングの枠が設定されていないカードや、その機能に対応していないカードがあります。どのカードでキャッシングできるかは、出発前に自分で確認しておく必要があります。
確認するのは次の2点です。
- 海外キャッシングの利用枠があるか(カード会社のアプリや会員サイトで確認します。枠は申込制のことが多く、初期設定が0円のカードや、そもそも海外キャッシングに対応していない券種もあります)
- 暗証番号を覚えているか(ATMでは暗証番号の入力が必要です。忘れていると、枠があっても引き出せません)
キャッシングは借入なので利息がつきます。利息を抑えるには繰り上げ返済ですが、海外での利用データがカード会社に届くまでは返済できません。届くまでに数日から数週間かかることがあり、その間の利息は発生します。返済手数料がかかる場合もあるので、返済の方法と条件を出発前に確認しておいてください。
なお、キャッシングには海外事務手数料がかかりません(かかるのは利息とATM手数料です)。ショッピングの3.85%と単純に比べられるものではありませんが、現金を用意する手段としては選択肢になります。
「日本円で払いますか」は、何度も聞かれた
海外で決済すると、「日本円で払うか、現地通貨で払うか」を選ぶ場面があります。実際に何度も聞かれました。
私は現地通貨払いで固定していました。日本円建てを選ぶと、カード会社ではなく加盟店側(正確にはその決済を処理する事業者)が決めたレートで換算されます。カード会社のレートより割高になることが多いと知っていたので、迷う場面はありませんでした。
聞かれたら現地通貨を選ぶ。これだけ決めておけば、その場で考える必要がなくなります。
渡航先によって、必要なものは変わる
6回のうち、韓国とシンガポールではカードだけで足りました。現金を使う場面がなかったからです。
一方で、渡航先によっては現地通貨を用意する必要がありました。同じ「海外」でも、カードだけで完結する国と、そうでない国があります。
この差には、行き先のキャッシュレスの普及具合が大きく影響します(行動範囲や、チップ・屋台のような現金が要る場面の有無にもよります)。出発前に「その国はカードだけで過ごせるか」を調べておくと、現金をどれだけ用意するか決められます。すべての国で同じ準備をする必要はありません。
海外事務手数料は2024〜2025年に各社が引き上げた
ここからは事実の整理です。海外でカードを使うと、国際ブランドの換算レートに海外事務手数料が上乗せされて請求されます。カード会社ごとに率が違い、2024年から2025年にかけて主要各社が引き上げました。
| 発行会社(対象ブランド) | 海外事務手数料 | 引き上げの時期 |
|---|---|---|
| 三井住友カード(Visa・Mastercard) | 3.63% | 2024年11月〜(2.20%から) |
| 楽天カード(全ブランド) | 3.63% | 2025年3月〜(2.20%から) |
| エポスカード(Visa) | 3.85% | 2025年7月〜(2.20%から) |
| クレディセゾン | 3.85% | 2024年12月〜(Visa・Mastercardは2.20%から) |
| ジェーシービー(JCB本体発行) | 1.60% | 引き上げの発表なし |
この率を決めるのは国際ブランドではなく、カードを発行している会社です。同じJCBブランドのカードでも、JCB本体が発行したものは1.60%、楽天カードのJCBは3.63%、セゾンのJCBは3.85%と大きく違います。「JCBブランドだから1.6%」ではないので、自分のカードの発行会社で確認してください。
10万円を海外で使った場合、3.85%なら3,850円、1.60%なら1,600円で、差は2,250円です。旅行1回あたりで見れば数千円の違いですが、率が低いカードほど有利なのは確かです。
ただし注意があります。JCB本体のカードは手数料が最も低い一方、ヨーロッパでは使えない店に当たることがあります。率の低さだけで選ぶと、冒頭に書いたような「弾かれる」場面に当たります。なお米国では、JCBのロゴがなくてもディスカバーの加盟店であれば使えるとJCBが案内しています。私自身、海外に行く機会が増えたことでJCBのカードを手放しました。
率の確認は、カード会社のサイトで「海外事務手数料」または「外貨換算事務手数料」を検索すれば見つかります。数字は変わることがあるので、出発前に公式サイトで確認してください。
保険は「自動付帯」と「利用付帯」を分けて確認する
カードに付く海外旅行傷害保険には、2つの型があります。
- 自動付帯:カードを持っているだけで有効になる
- 利用付帯:旅行代金(航空券や公共交通機関の運賃など)をそのカードで払った場合に有効になる
年会費無料のカードで海外旅行保険が付くものは、いまはほとんどが利用付帯です。そもそも保険が付かない年会費無料カードも増えています。旅行代金を別のカードで払っていると、保険は効きません。「カードを持っているから大丈夫」と思い込むのが、いちばん危ない誤解です。
付帯の条件はカード会社ごとに違います。しかも「旅行代金」に何が含まれるかが曲者です。たとえばエポスカードでは、航空券や空港までの電車・バス・タクシー代は対象ですが、個人で手配した宿泊代・ガソリン代・高速道路料金・レンタカー代は対象外です。「旅行に関する支払いなら何でもよい」わけではありません。必ず自分のカードの規定で確認してください。私は付帯保険を請求したことがないので、支払いがスムーズだったかどうかは書けません。
複数のカードを持っている場合、傷害死亡・後遺障害は最も高い1枚の金額が上限になりますが、治療費用は複数のカードで合算できるのが一般的です。年会費無料のカードを1枚足しておくと、治療費の枠を厚くできます。ただし受け取れるのは実際にかかった費用までで、合算した金額がそのまま支払われるわけではありません。
結局、何を2枚持っていくか
6回の経験から言うと、決め方はこの順番です。
- ブランドを分ける。Visaが1枚、Mastercardが1枚。ここが最優先です
- そのうち1枚は、海外キャッシングが使える状態にしておく。枠と暗証番号を確認します
- 旅行代金を払うカードを決めて、その保険を有効にする。利用付帯なら、払う前に条件を読みます
- 手数料率は、この3つを満たしたうえで比べる。率だけで選ばない
治療費の枠を足したいなら、年会費無料で海外旅行保険が付くカードを1枚持っておく方法があります。エポスカードはその選択肢のひとつで、旅行代金をこのカードで支払うことが保険の条件です(傷害治療200万円・疾病治療270万円)。ブランドはVisaのみなので、これはブランド分散の1枚にはなりません。すでにVisaを持っているなら、2枚目をMastercardにしたうえで、保険用の3枚目として考えてください。付帯の条件と補償額は、申込前に公式サイトで確認してください。
出発前のチェックリスト
- 2枚のブランドが分かれているか(VisaとMastercard)
- 各カードの海外事務手数料を公式サイトで確認したか
- 海外キャッシングの枠があるカードはどれか、暗証番号を覚えているか
- 旅行代金をどのカードで払うか決めたか(利用付帯の保険を有効にするため)
- 渡航先がカードだけで過ごせる国か調べたか
- カード会社の緊急連絡先を、スマホとは別の場所に控えたか
よくある質問
Q. 海外でクレジットカードが使えなかったら、どうすればいいですか?
A. ブランドの違う別のカードを出すのがいちばん早い対処です。私はポーランドの飲食店でVisaが2度はじかれ、Mastercardに変えて通りました。2枚持っていくときはブランドを分けておくことをおすすめします。
Q. 海外で「日本円」と「現地通貨」のどちらで払うべきですか?
A. 現地通貨を選ぶのが基本です。日本円建てを選ぶと、カード会社ではなく加盟店側が決めたレートで換算され、カード会社のレートより割高になることが多いためです。私は6回とも現地通貨で固定していました。
Q. 現地の通貨は、日本で両替するのとATMで引き出すのと、どちらがよいですか?
A. 私は現地のATMでキャッシングして用意しました。事前に手数料を調べたうえでの判断です。ただし手持ちのカードのうち引き出せないものがあったので、どのカードでキャッシングできるかは出発前に確認してください。どちらが得かは、両替所のレートやカードの条件によって変わります。
Q. すべてのクレジットカードで海外ATMからお金を引き出せますか?
A. いいえ。海外キャッシングの枠が設定されていないカードや、対応していないカードがあります。私も実際に、持っていったカードのうち引き出せないものがありました。会員サイトやアプリでキャッシング枠を確認し、暗証番号もあわせて思い出しておいてください。
Q. 海外事務手数料が安いJCBカードを1枚持っていけばよいですか?
A. おすすめしません。JCB本体が発行するカードは海外事務手数料が1.60%と低い一方、ヨーロッパでは使えない店に当たることがあります。手数料の差は10万円の利用で数千円ですが、決済できなければ意味がありません。VisaまたはMastercardを必ず1枚は持っていってください。なお同じJCBブランドでも、楽天カードやセゾンが発行するJCBの手数料率は1.60%ではありません。
Q. カードに付いている海外旅行保険だけで足りますか?
A. 補償額と付帯の条件によります。年会費無料のカードの多くは利用付帯で、旅行代金をそのカードで払わないと有効になりません。治療費用は複数のカードで合算できるのが一般的なので、年会費無料のカードを1枚足して枠を厚くする方法もあります。不安があれば旅行保険に別途加入してください。
Q. 海外でカードが不正利用の検知で止められることはありますか?
A. 可能性はあります。ただし私の6回では一度も起きていません。心配な場合は、カード会社に渡航の予定を伝えられるか確認しておくと安心です。
まとめ:手数料より先に、ブランドを分ける
- 実際に困るのは手数料より「弾かれること」。VisaとMastercardを1枚ずつ持つ
- 現地通貨はATMキャッシングで用意できるが、引き出せないカードもある。枠と暗証番号を出発前に確認する
- 「日本円か現地通貨か」は現地通貨で固定する
- 韓国とシンガポールはカードだけで足りた。必要な現金は渡航先で変わる
- 海外事務手数料は2024〜2025年に各社が引き上げた。率は発行会社ごとに違うので、出発前に公式サイトで確認する
- 保険は「自動付帯」か「利用付帯」かを必ず確認する

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